日産自動車の創立80周年を記念したパレード「ヘリテージ・カー・パレード in Yokohama」が2013年12月23日に日産グローバル本社ギャラリーで開催された。
当日、日産グローバル本社ギャラリー内のステージでは日産のドライバーとして数々のレースで活躍し、現在スーパーGTで監督を務めている長谷見昌弘氏と星野一義氏による「レジェンドドライバートークショー」が行われた。
トークショーの内容を要約し、5回に分けてお伝えする。
4回目は昔のレーシングカー開発現場について。
メカニックが同乗
-日産のモータースポーツ活動の良さとは?
長谷見昌弘氏(以下長谷見) 日産・トヨタ・ホンダ・マツダいろいろありますけど、日産だけが本当のワークスという形をとっていましたね。
要するに工場チームですよね。
トヨタはエンジンはヤマハでやってましたからね。
ホンダも無限とかに出してました。日産は追浜の研究所でやっていて、そこと契約していました。
今はニスモがやってますけど、それは時代に沿ったやり方でいいと思いますけどね。-今はコンピュータでデータを採れるが、当時はどうやってクルマの開発をしていた?
長谷見 当時は安全対策なんてみんな考えてなかったですからね。
富士スピードウェイでレーシングカーのテストをする時に、データレコーダーというテープレコーダーみたいなものを後ろに積んで、メカの人が後ろに乗るんですよ。
で、何か所かポイントがあって、そこへ行くとボタンを押してデータを採るんですよ。
だから、30度バンクなんか乗ってるんですよ。後ろに。
とても僕には考えられない。
一般の人はコントロールし過ぎ
長谷見 ラリー車のテストも全部横に乗ってましたね。
柿元総監督(注:柿元邦彦日産系チーム総監督)も僕の横に何百周も乗りましたよ。
ヨーロッパの世界選手権で走るクルマ(注:240RS)ですからね。
もうストレートなんてまっすぐ走らないですからね。
いつも横だよね?星野一義氏(以下星野) 僕は絶対乗らない。
長谷見 僕も乗らないですね。
星野 自分がハンドル握ってないと嫌でしょ?
長谷見 嫌だねえ。だってクルマがまっすぐ走らないんだよね。
星野 一般の人は一所懸命コントロールしてまっすぐ走ろうとしてんだけど、勝手に好きなように大体まっすぐ行くから走らせとけばいいのよ、風が吹こうが何しようが。
ところが(一般の人は)一所懸命コントロールし過ぎるのよ。長谷見 雪の中のテストもやるんですよ、ラリーカーは。
180km/hくらいで真横になってるんです、メカの人乗ってるんですよ横に。星野 例えばトラクションコントロール、ABS、DOHC、ターボ。
全部5年位(レーシングカーで)先行してやってきて、いいクルマ(市販車)を作って海外に輸出してるわけだから、レースは危険なことだけ・無駄なガソリンを使うだけじゃないのよ。
先行開発には最高の場所なのよ。長谷見 技術屋さんやメカを育てますよね。
だって、(レーシングドライバーの)横に乗ってるんですから。