プリンスR380 (A-Ⅰ)を展示

横浜市の日産グローバル本社ギャラリーでは、2018年5月12日から8月20日までの予定で、ヘリテージカーを特別展示するイベント「よみがえる日産の名車たち」を開催している。

歴史的車両の再生をテーマにした展示で、座間記念庫の「日産ヘリテージコレクション」の中から、過去2年以内にレストアされた延べ14台が展示される。
今回は6月22日から7月5日まで展示された、プリンスR380(A-Ⅰ型)を紹介する。

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プリンスR380(A-Ⅰ)第3回日本グランプリ優勝車(1966年・R380型)

プリンスR380

1964年(昭和39年)の第2回日本グランプリで、「プリンス スカイライン2000GT」を参戦させたプリンス自動車が、ポルシェ904に負けたことから生まれたレーシングカーで、戦後日本初のプロトタイプレーシングカー。

開発責任者は櫻井眞一郎氏(1929年-2011年)で、スペースフレーム構造のシャシーにアルミボディを載せた。
開発当初、シャシーはイギリスのブラバムBT8を使用する予定で、実際にプリンス自動車はBT8を購入したが、結果的には再設計したという。

エンジンはG7型をベースとして設計した2リッター直列6気筒・DOHCのGR8型。
高速コーナーでのエンジンオイルの偏りによる潤滑不良を防ぐため、ドライサンプ方式が採用された。

プリンスR380

1965年(昭和40年)5月に予定されていた第3回日本グランプリへの出場を予定していたが、開催中止となったため、同年10月に茨城県谷田部の高速試験場で国際スピード記録に挑戦。
SS50㎞で238.15km/hを初めとして7種目中4種目で世界記録を更新したものの、谷田部の高速試験場は国際自動車連盟(FIA)が国際試験場として公認していなかったため、日本記録にとどまった。

1966年(昭和41年)5月、第3回日本グランプリが当時新設された富士スピードウェイで開催され、R380はポルシェカレラ6を抑えて優勝。
同年8月にプリンス自動車は日産自動車と合併したため、これがプリンス自動車としての最後のレースとなった。

プリンスR380

展示車は第3回日本グランプリで優勝した実車で、2013年にニスモがフルレストアし、2018年には当時と同じボディカラーで再塗装された。
再塗装される前のボディカラーの写真は下記リンクを参照。


プリンスR380

※2018年7月18日:「矢田部」を「谷田部」に訂正しました。

プリンスR380 (A-Ⅰ) 主要諸元

ヘリテージコレクションNo.045
全長:3,930㎜
全幅:1,580㎜
全高:1,035㎜
ホイールベース:2,360㎜
トレッド(前/後):1,280mm/1,260mm
車両重量:620㎏
サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/ダブルラジアスアーム
ブレーキ(前後共):ガーリング社製4輪ディスク
タイア(前/後):5.00L-15/6.00L-15 ダンロップR7

プリンスR380 (A-Ⅰ) エンジン主要諸元

エンジン型式:GR8(直列6気筒・4バルブDOHC)
総排気量:1,996㏄
最高出力:147kW(200ps)以上/8,400rpm
最大トルク:172N・m(17.5kgm)以上/6,400rpm

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