日産グローバル本社ギャラリーでは、2016年5月1日から6月17日まで、9代目スカイライン(R33型)のGT-Rが展示されている。
失敗作と言われることが多いR33GT-Rであるが、本当にそうなのだろうか?
R33GT-Rは失敗作ではなかった?
R33GT-Rについては前型のR32GT-Rよりボディサイズが拡大されたことから、発売当初から現在まで失敗作というイメージが強く持たれているが、必ずしもそうとは言い切れない。
ベースとなったスカイラインがボディサイズを拡大したことに合わせて、R33GT-Rも前型R32GT-Rよりボディが大きくなった。
それによって105㎜延長されたホイールベースは、加速でも減速でも車両安定性が向上する方向に作用している。
R32でフロントヘビーだった前後重量配分を少しでも改善すべく、R33ではリアにバッテリーを配置する「ハイトラクションレイアウト」を採用。
フロントオーバーハングの軽量化も行われた。
エンジンは最高出力こそ自主規制があったため280psのままだったが、最大トルクは1.5㎏m向上した37.5㎏mとなっていた。
制御用のコンピュータがR32の8ビットからR33では16ビットに進化したことで緻密な燃料噴射が可能となったためだ。
R32の弱点であったアンダーステア対策のため、ストラットタワーバーをはじめとしてボディはベースとなったスカイライン2ドアから30か所近く補強が施されている。
また、フロントサスペンションのアッパーリンクはR32では1本だったが、R33では2本となりキャンバー剛性も向上した。
R32は発売当初、ブレーキの容量不足が指摘されたため、モデル途中から伊・ブレンボ社製ブレーキ装着車を追加していたが、R33では最初からブレンボ社製ブレーキを標準装備していた。
これらの改良により、ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムはR32GT-Rの8分20秒から7分59秒へと短縮。
1周22㎞のコースでラップタイムを21秒短縮したということは、1km当たり1秒近く速くなっているということだ。
これらのことを総合すると、R33GT-Rは前型であるR32GT-Rの弱点を改善することで、ボディサイズの拡大とそれにともなう重量増加というハンディを跳ね返したクルマということができる。
車両としての総合的な性能はR32よりR33の方が上ということができ、R33GT-Rは必ずしも失敗作とは言い切れないということになる。