日産銀座ギャラリーでは、2013年1月17日から1月31日までデルタウイングが特別展示された。
日産銀座ギャラリー デルタウイング特別展示
日産銀座ギャラリーにデルタウイングがやってきた
「東京オートサロン2013」日産ブースに出展された後、銀座ギャラリーに姿を現わしたデルタウイング。
デルタウイングにはウイングがない!
デルタウイングのコンセプトは、「空気抵抗(ドラッグ)と重量を減らせばスピードと燃費を両立できる」というもので、「デルタウイング」という名前の通り、このクルマのプロポーションは3角形をしている。
そして、レースカーでは当たり前となっている大きなウイングが装着されていない。
ダウンフォースを得るために大きなウイングを付けると空気抵抗が大きくなるため、床下に流れる空気を利用してダウンフォースを得る「ツインボルテックス・アンダーボディダウンフォースシステム」という長い名前のエアロパーツが採用されている。
デルタウイングは魚みたい
ル・マン24時間レースにはLMP1/LMP2/LM GTE Pro/LM GTE Amの4種類のクラスがあるが、デルタウイングは「ピット56」という実験的な車両のための特別枠で出場。
LMP1とLMP2の車両重量が900kgなのに対し、デルタウイングの車両重量はわずか475kgに過ぎない。
レース中に記録した最高速度は303km/hで、LMP2クラスやLM GTE Proクラスと同等のスピードで走っていたのだが、LMP2クラスのマシンが最高出力450馬力を発生する4.5リッターV8エンジンを積んでいるのに対し、デルタウイングは300馬力の1.6リッターターボ。
デルタウイングは車両重量が軽く空気抵抗が少ないため、LMP2クラスの3分の2の最高出力でありながらほぼ同等のスピードが出せるということになる。
正面から見ると、魚が口を開けているように見える。
フロントホイールは、レースカーで一般的なセンターロック式ではなく、3本のボルトを使って固定されている。
デルタウイングはフロントの幅が狭いため、ホイール取り付け部の幅をとらないよう3本のボルトで固定する方式を採用し、BBSの協力で専用ホイールを開発。
ブレーキディスクはカーボン製となっている。
ル・マン24時間レース決勝では、本山哲選手が運転中に中嶋一貴選手のトヨタTS030に接触されてリタイアとなった。
しかし、2012年10月アメリカで行われたアメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)に参戦し、最後尾の42番手からスタートして総合5位でゴールするという活躍ぶりを見せてくれた。
ゴン太の余計なひとこと
ル・マン24時間に参戦した実戦仕様のデルタウイングではコックピットの両サイドに黒いサイドミラー、ALMSでは赤いサイドミラーで参戦していたがこの展示車には付いていなかった。
また、ル・マン実戦仕様にはリアにDRS(Drag Reduction System)と呼ばれる電動式のフラップが装着されていたがこれも展示車には装着されておらず、スポンサーロゴが異なる部分もあるため、展示車はレース参戦車とは別の車両の可能性が高い。
日産デルタウイング 主要スペック
エンジン
- 1.6リッター直列4気筒 直噴ターボ(ジューク用MR16DDTベース)
- 最高出力 300bhp(220kw)/7,400rpm
- 最大トルク 310Nm/4,000-6,750rpm
- スロットル形式 ドライブ・バイ・ワイヤー
- DLCコーティングカムシャフト
- 電動ウォーターポンプ
- インコネル製4-1集合排気システム
- エンジン重量 91kg
- 燃料タンク容量 40リッター
トランスミッション
- 縦置きシーケンシャル5速
- 電動アクチュエータ式パドルシフト
- 4.5インチカーボン製ツインプレートクラッチ
シャシー
- FIA認定カーボンファイバーコンポジット
- サスペンション形式 ダブルウィッシュボーン(前後共)
- リアスタビライザー(フロントは非装着)
- ブレーキキャリパー 4ポットアルミモノブロック
- カーボン製ブレーキディスク
- フロントブレーキサイズ 直径280mm/厚さ18mm
- リアブレーキサイズ 直径320mm/厚さ25mm
タイア・ホイール
- フロントタイア ミシュラン製100/580-15
- リアタイア ミシュラン製310/620-15
- BBS製マグネシウム1ピース鍛造ホイール
- フロントホイールサイズ 直径15インチ/幅4インチ
- リアホイールサイズ 直径15インチ/幅12.5インチ
ボディ
- 全長 4,650mm
- 全幅 フロント760mm リア2,080mm
- 全高 1,030mm
- トレッド フロント600mm リア1,740mm
- カーボンコンポジット製ボディパネル
- ツインボルテックス・アンダーボディダウンフォースシステム
- Cd値 0.35
性能
- 最高速 315km/h
- 0-100km/h加速 3.3秒
- 燃費率 230-250g/kWh(試算値)