公正取引委員会は2024年(令和6年)3月7日、日産自動車が下請けの部品メーカーに支払う代金を一方的に減額していたことが下請け法に違反していたとして、再発防止などを求める勧告を出した。
公正取引委員会は記者会見で「問題のある悪質な事例」と述べた。
日本商工会議所と経済産業大臣もコメントを発表した。
これらは3月7日と8日のNHKニュースで報じられた。
日産が部品代金を一方的に30億円減額
公正取引委員会の発表によると、日産自動車は昨年4月までの少なくとも2年あまりにわたって、エンジン部品やホイールなどを製造する部品メーカー36社に対し、事前に取り決めた代金から一方的に数パーセントを減額して支払っていたという。
この期間に減額した金額は合計30億2000万円にのぼる。
下請け法は、下請けに責任がないのに発注側が一方的に代金を減額することを禁止しており、公正取引委員会は日産自動車に対して再発防止を求める勧告を出した。
日産自動車は事実を認め、今年1月に減額した分の全額を部品メーカーに支払ったという。
公正取引委員会では、原材料費や光熱費の値上がりで中小企業の経営や賃上げに大きな影響が出ているため、適正価格での取引が行われるように監視体制を強化している。
公正取引委員会と日本商工会議所と経済産業大臣が激怒
公正取引委員会は3月7日の記者会見で、「物価上昇を上回る賃上げが重要課題となる中、中小企業の賃上げを実現するための原資は価格転嫁しかない。それにもかかわらず、サプライチェーンの頂点にいる大手メーカーが下請け法に違反したことは非常に遺憾だ。問題のある悪質な事例に対しては、法律に基づいて厳正に対処していきたい」と述べた。
日本商工会議所の小林会頭も3月7日の記者会見で「極めて遺憾なことだ。初心や原点に返り、企業のトップが前に出て真剣に考えることが社会的な責任である。また、企業の中で購買の担当者を評価するシステムを新しく作る必要がある」と述べた。
齋藤経済産業大臣は3月8日の閣議のあとの会見で、「物価上昇を上回る賃上げを中小企業でも実現するため、官民一体となって取り引き適正化をサプライチェーン全体で進めている中、こうした事案が生じたことは極めて遺憾だ」と述べた。