日産 ティーダを展示

日産グローバル本社ギャラリーのヘリテージゾーンでは、ティーダが2021年(令和3年)6月24日から8月17日まで展示された。
この展示の解説用パネルのグレード表記には誤りがあり、パネルには最廉価グレードの「15S」と表記されていたが、実際の展示車はトップシェード付フロントガラスと本革巻ステアリングホイールを装備する最上級グレードの「15G」だった(いずれの装備も「15S」「15M」には設定なし)。

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日産 ティーダ 15G(2005年・C11型)

※解説用パネルではグレードが「15S」となっているが、展示車は「15G」。

日産ティーダ 解説用パネル

日産自動車は2004年(平成16年)9月2日、横浜の客船ターミナルホールで記者発表を行った。
「ムラーノ」の国内発売の発表会を兼ねていたが、「_SHIFT」というスローガンとともに2004年秋から2005年初頭に発売予定の新型車6車種「ムラーノ」「ティーダ」「フーガ」「ティーダラティオ」「ラフェスタ」「ノート」を一度に公開して経営再建後の反転攻勢をアピールした。
「ティーダ」はそれまで38年続いた「サニー」に代わる車種で、ティーダ(TIIDA)というネーミングはTIDE(潮流)からの造語であると日産は発表しているが、沖縄の古語で太陽という意味もある。

日産ティーダ(C11型)

ティーダの商品企画責任者(当時)の松本秀二(まつもと しゅうじ)氏はティーダ開発の狙いについて、従来の「サニー」の顧客は中学生くらいの子供のいる年齢層が多く、若者向けのクルマには乗りたくないが車高の高いミニバンは遠出の際に不安があるというのがサニーの選択理由として多かったことから、ティーダもそうした顧客に受け入れられることを考慮したという。
また、デザインを担当したプロダクトチーフデザイナー(当時)の中島敬(なかじま たかし)氏は初代「ティアナ」(J31型)のプロダクトチーフデザイナーも担当した人物だが、「ティアナのクオリティを小さいクルマでできないの?」という意見があったことや、コンパクトカーに対して既存の「マーチ」(K12型)「キューブ」(Z11型)にはないクルマらしさやクオリティを求める意見があったため、それらを合体してティーダのコンセプトが出来てきたと述べている。

日産ティーダ(C11型)のリヤビュー

発売時の広告のキャッチコピーは「Compact meets Luxury. コンパクトがはじめて出会う上質。」。
それまでのコンパクトカーは経済性を前面に打ち出したクルマが多く、質の高さを特色にしたものは少なかった。
ティーダでは感性品質を意味する「パーシブド・クオリティ(PQ)」を重視し、外装は塗装の中塗りとクリア層をおよそ30%厚くして鮮映性を高めたり、内装ではインストルメントパネルやアームレストにソフトな素材を使用して手で触れた際の感触を良くしている。
今回の展示車である15Gのシート素材は本革/アルカンターラのコンビネーションとなっている。
感性品質についてはフォルクスワーゲン・ゴルフをベンチマークとして開発が行われたという。
居住性についても前席シートは上級車種の「ティアナ」に近いサイズとして快適に座れるようにし、後席のレッグルームは当時のシーマ(F50型)並みの650㎜を確保。
アクセルペダルから後席ヒップポイントまでの長さである室内有効長は1,836㎜でシーマより1㎜長く、ボディサイズはコンパクトでもパッケージングは大型セダン並みとなっていた。

日産ティーダ(C11型)のシート

展示車のボディカラーは発売当初のイメージカラーであったハーベストイエロー(メタリック)(#E32)で、メーカーオプションのナビゲーションシステムと15インチアルミホイールが装着されていた。
2004年(平成16年)発売当時の2WD車の税込価格は、15S:1,428,000円、15M:1,575,000円、15G:1,722,000円だった。

日産ティーダ(C11型)のインテリア

ティーダのプラットフォームはマーチ(K12型)やキューブ(Z11型)と共通の、日産としては当時最も小さい「Bプラットフォーム」を使用。
エンジンは日産としては当時17年ぶりとなる完全新開発のHR15DE型で、アルミ合金製シリンダーブロックを採用したことでエンジン重量をそれまでのQG15DE型より25㎏軽い95㎏に軽量化。
量産エンジンとしては稀な真円ボア加工やクランクとカムの鏡面仕上げ、その他の効率向上と合わせてフリクションを約30%低減している。
2WD・CVT車の10・15モード燃費は18.2km/lとなっている。

ティーダの日本国内での販売は2012年(平成24年)8月に終了し、同年9月発売の2代目ノート(E12型)が代替車種となったが、海外向けには2011年(平成23年)に2代目・C12型が中国で発売され、オーストラリアとタイでは「パルサー」の車名で販売された。

日産、2代目ティーダを展示
日産がサニーの後継車種として2004年に発売した初代ティーダ。日本国内では2012年に販売終了となってノートに統合されたが、海外市場ではフルモデルチェンジして2代目が販売されている。日産グローバル本社ギャラリーでは、2代目ティーダの中国向け1.6リッターターボ車を2014年3月7日から4月6日までの予定で展示している。

日産 ティーダ 15G 主要諸元

ヘリテージコレクションNo.338
全長:4,205㎜
全幅:1,695㎜
全高:1,535㎜
ホイールベース:2,600㎜
トレッド(前/後):1,480㎜/1,485㎜
車両重量:1,140㎏
サスペンション(前/後):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイア:185/65R15 88S

日産 ティーダ 15Gエンジン主要諸元

エンジン型式:HR15DE(直列4気筒・DOHC)
総排気量:1,498㏄
最高出力:90kW(109ps)/6,000rpm
最大トルク:148N・m(15.1kgf・m)/4,400rpm

参考文献:三栄書房「ニッサン・ティーダのすべて」

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